ABOUT US_DESIGN PHILOSOPHY

NOT 「 部屋数 + LDK 」。すまいの形式には、無限の可能性がある。

 1950年代、戦後の公団住宅の規格である「51C型」。それが現代のLDKの原型といわれています。政府によって効率的に住宅を供給するため導入されたその概念は、時代が進むにつれ、ただ部屋数だけを増やしながら慣例としてつくり続けられてきました。
 2DKよりも3DK。3DKよりも3LDKが豊かなものとされ、そうしたイデアのもとに家づくりが推し進められてきたのです。
 しかし、立ち止まって考えてみたときに、果たして3LDKより4LDKのほうが豊かなのでしょうか? 4LDKより、5LDKのほうが、住宅として優れているのでしょうか? たとえば、家族の集まる空間を大きくとれば個室はいらない、というすまい手がいらっしゃいます。その日の気分で、それぞれが好きな場所ですごす──となれば、個室は必要でなくなりますね。逆にめいめいのパーソナルな空間を重視するというすまい手もあります。そうなると居間や食堂はささいなもので事足りるでしょう。すまいの形式には、無限の可能性があるのです。

 「リビング」「ダイニング」「キッチン」。そこでおこなう行為を部屋の名前にしてしまうのは、現代の住宅の特徴です。昔は、入口から遠い場所にあれば「奧」、道から見える場所であれば「見世(店)」、と呼んでいました。「奧」はすまい手にとって大切なものを納める場所。「見世(店)」は商品を並べて見てもらう場所でした。本来、私たち設計者はそういった空間の質をデザインすべきではないでしょうか。
 ですから私たちは、立地条件や周辺環境の特性を把握し、部屋の配列や視線の抜けにこだわり、開口部の位置や風通しについて十分な検討を行います。規定の部屋数を確保するだけの通り一遍の設計では実現することのできない、すまい手のパーソナリティーを色濃く反映した空間づくりを目指しています。
 部屋数が多いからといって、お気に入りの場所になるとは限りません。全てのすまい手に万能な形式はあり得ないのです。部屋数 + LDKという既成概念にとらわれないところから、スターディ・スタイルのすまいづくりははじまったのです。

 良い土地といえば、日当たりのいい南道路。果たして本当にそうでしょうか? いえ、一般的に悪条件とされている北に開けた土地でも、設計の工夫によってそのデメリットを解消し、光と風を存分に採り込んだ居心地のよいすまいをつくりだすことはできます。それどころか、敷地条件を逆手にとることで、独創的な空間デザインが生まれることだってめずらしくありません。
 大切なことは、コストを含めた土地と建物のバランス。スターディ・スタイルでは、最初のヒアリングで希望する部屋の数や、広さを詳しくお聞きすることはありません。なぜなら、間取りは設計者が決めること。もっとその奧にある、「すまい手が理想とする生活スタイル」を導き出さなければ、すまいの本質をデザインすることができないからです。お客さまとのコミュニケーションを通じ、予算とのバランスをとりながら優先順位を決めていく。そしてそれをプランニングに落とし込む。すまい手の個性を引き出せば引き出すほど、提案の幅は広がります。
 そうしてご提案するすまいは、平面だけでなく立体化して検証。窓の配置や建物のバランスを俯瞰して見ることで新たな気づきが生まれる場合もあるのです。
 住宅におけるデザインの美しさとは、ただ美しいということのみではありません。空間のノイズを取り除き、いかにマテリアルをシンプルに見せるか。すべてを排除してしまうのではなく、ユーザビリティを考慮しなくてはなりません。美と用。相反するふたつの重力の均衡に、しつらえの美は息づくのです。
 また、いくら凝った設備でも現場で施工がしにくかったり、お客さまの負担となるようなコストのものでは意味がありません。造りやすさと、求めやすさ──STRACTURE + REASONABLEをも備えてこそ、そのデザインは優れたものといえるのです。